レコードプレイヤー紹介

何だか11月とは思えない程の暖かい日が続いていますが、皆さんお元気にお過ごしでしょうか?

こんにちは、オジサンです。

北海道では雪、関東以西は夏日の場所が多くなった文化の日でしたが、皆さんどこかにお出掛けになりましたか?オジサンはお袋の誕生日が近かったので、夏以来久しぶりにお袋に会いに行って来ました。車で行けば1時間半程度なのですが、介護生活が有るとなかなか行く事も叶わず、このようなイベントの時でないと行けません。

お袋は90歳を目前にしていますが、いまだに元気に仕事をしています。とは言っても午前中3時間程度、知り合いの八百屋の手伝いをしているだけなのですが、無職のオジサンとしては頭が下がる思いです。お袋も「外に出て、身体を動かしている方が気分が良い」と言っていますので、そのままにしています。

レコードプレーヤー考

さて「レコードプレーヤー考」などと大それたタイトルで書き始めましたが、この事は既に多くの方がその重要性やセッティング等々に付いて書かれていますので、今日は「オジサン的」と言う冠を付け、オジサンがどんな風にレコードプレーヤー(以下プレイヤー)について考えて来たかをご紹介させて頂きます。

最近は若い方々の間でも「アナログ回帰」と言うような現象が起こり、若者うけするようなアーティストもアナログで新譜を出す事が有るようですねぇ。レコードの生産量もこの数年(10年以上?)右肩上がりで伸びているとの情報も有るほどです。先日も某TV局で国内のアナログレコード生産会社が休日返上で生産にあたっているとの情報を流していました。

また、1982年のCD発売直後、手持ちのアナログ盤を全て売り払い、CDに乗り換えたベテランの方々も再びプレイヤーを購入し、アナログ盤を買い戻しているとの話も聞きます。

それほどまでに「アナログ回帰」が進む昨今、今一度プレイヤーの重要性について考えてみたいと思った次第です。

音質は入り口と出口で決まる

オーディオの音質は入り口であるプレイヤー周りとスピーカーで決まると言っても過言ではありません。これはオーディオ全盛だった1970年代から既に言われていた事で、なにもオジサンが言い出した事ではありません。勿論、以前このブログでも書いた通り、「本当の音の入り口はソースにある」ので、レコードならレコード盤を外す事は出来ませんが、今日は再生する機械側について考える事にします。

さてレコードの音の入り口であるレコードプレーヤーは単体で存在する訳では無く、幾つかの部品が合わさって出来ています。

ベテランの方には今更ですが、大きく分けて以下の部品で構成されています。

1)カートリッジ(カートリッジ・シェル・リード線)MM?MC?

2)アーム(本体・ケーブル)印加方式が違う

3)ターンテーブル(本体・ターンテーブルシート)駆動方式が違う

4)キャビネット(台)

オーディオ全盛の頃、好きな方はこれらの部品をバラバラで購入し、自分なりのプレイヤーを構築して再生を楽しんだものです。中にはターンテーブルを自作してしまうツワモノもいましたし、購入したカートリッジをカスタマイズしてしまうような方もいました。オジサンはそこまでのマニアではないので購入したモノを組み合わせる程度ですが、自分なりに考えながら今の型になりました。

固い?柔らかい?

プレイヤーには避けて通れない大きな問題が有ります。それは「ハウリング」と言う現象です(詳しく知りたい方はHPを検索して下さい)

ハウリングは二つの経路で発生すると言われていて、一つは「空中を伝う再生音が原因」、もう一つは「床を伝わる再生音が原因」とされています。いずれも「音(振動)」が原因で発生します。

特に日本の住宅のような軟弱な床の場合は後者の原因が多いようで、余程再生音を大きくしない限り前者が原因で起こる事は無いと思われます。また、レコード再生中にプレイヤーの近くを歩いただけで揺れが起こり、針飛びをするなんて事も有るかも知れません。

そこで考えられるのか「プレーヤーシステムの強化」です。ハウリングから再生音を守ったり、近くを歩いただけで針飛びを起こしたりしないようプレーヤーを強化するのですが、その方法は大きく分けて二通り有ると思います。

一つはガチガチに固めてしまう方法、もう一つが柔らかくして振動を途中でカットする方法です。固める方法で有名なのがマイクロ社、柔らかくする方法で有名なのがトーレンス社で、どちらも理論に基づいた素晴らしいプレイヤーシステムを製造していました(今でも造っている?)

システムとしてプレイヤーを購入するならどちらか好きな(実情に合った)方を選択すれば良いのですが、オジサンのように各部品を別々に購入した場合はキャビネットをどうするか?考えなければなりません。オジサンもGarrard401を購入後散々悩み、実験を続けました。その時の事はノートに書き留めてあるので、今でも読み返す事が出来ます。

結局4年近く試行錯誤と実験を繰り返し、オジサンが辿り着いた付いた結論は「重いものを浮かす」です。Garrard401も最初はオーディオ店で売っていた積層のキャビネットに入れていましたが、どうにも思い描く音質には程遠く、考え抜いた挙句の結論がこれだったのです。

今のシステム(キャビネット

これが今オジサンが使っているプレーヤーキャビネットを正面から見た写真です。

一番下は黒御影石の柱が前後に2本、その上(白いやつ)はデルリン(厚さ3㎝程)、その上にアオタモで造った箱、そして3本のスプリングで浮かせたデルリン(厚さ2㎝)にセットされたプレイヤーシステムが乗っています。

御影石は以前勤めていた工場の改築工事の時に出た廃材で、知り合いの業者に頼んで切って頂きました。デルリンの駒も同じく工場から出た廃棄物をオジサンが自ら切ったモノで、引っ越す前はスピーカーの下に入れていたモノです。

このシステムで中心になるのがアオタモの箱ですが、アオタモはプロ野球選手のバットなどに使用されている材で、近年は結構入手困難と聞いた事が有ります。アオタモを4㎝幅の角材にして、釘を一本も使わず組んであります。これは松本に住んでいた時に知り合いの方のお父さんに造って頂いたモノです。30年以上経った今でも全く狂いもなく、ビクともしません。

アオタモの箱の中にはやはり松本時代に梓川の上流で採って来た川砂が約50kg 程と湘南海岸(鎌倉)で採って来た砂鉄が約1Kg (何かの本で砂鉄が良いと書いてあった)入っています。砂鉄を集めるのは本当に大変で、横浜に住んでいた頃奥さんと一緒に毎週通い、紐に付けた大きな磁石を幾つも腰に結び付けて海岸を歩き回りました。奥さんも本当に疲れたようで、帰りはいつもケーキをご馳走させられたものです。

トップのデルリンですが、これは知り合いの業者が無料で提供してくれたモノです。最初は箱と同じ素材で造った板でしたが、松本から横浜に引っ越した時、湿気でやられて反ってしまいました(タンノイを駄目にしたのもこの頃)

厚さは2Cm、幅は縦横とも60Cm 有ります。デルリンはデュポン社が特許を持っていたポリアセタール樹脂です。平たく言えばプラスチックです。

デルリンは「鉄よりも硬く、木よりも加工がしやすい」と言う特徴を持っていて、オジサンでも簡単に加工が出来ました。重さはデルリンだけで約20Kg近くあり、それにターンテーブルとアームをセットしています。

トップはこんな形でスプリングを使って浮かせていますので、触るとユラユラと揺れます。近くを歩いても全く影響は有りませんし、ハウリングも皆無です。やった事は有りませんが、横で縄跳びをしても大丈夫だと思います。

SMEの方はデルリンのトップ直付けですが、テクニカのアームは真鍮製の台座を介しています。この台座は大阪の金属加工業者に頼み込んでアルミ製と真鍮製の2種類を作成して頂き、結局は真鍮製に落ち着きました。

オジサンがGarrard401を購入したのが1984年11月で、このプレイヤーが今の型になったのが2007年の頃ですから、約23年の月日を費やした事になります。この時間を無駄とみるか否かは人によって異なると思いますが、オジサン的には「よぉやった」と言いたいと思います。

プレーヤーシステムはレコードに刻まれた情報を余すところなく拾い、それをアンプ(フォノイコライザーや昇圧トランス等含む)に送り込むのが役割ですが、ここで失われた音はその後どれほど素晴らしい装置を使っても再現する事は出来ません。オーディオは先に行けば行くほど失われる音は有っても増える音(ノイズは別)は有りません。どれほど優秀なアンプでも、必ず音は失われると思っていた方が良いと思います。従ってレコードの溝に刻まれた音(情報)を出来る限り100%に近い形で拾って上げる事がプレイヤーシステムの役割なのです。(人によってはどれほど優れたプレーヤーシステムでも50%程度と言う人も居る)

そのために多くの時間と労力を費やすのです。それがオーディオの楽しみなのではないでしょうか?珠玉の再生音が鳴った時の満足感は得も言えないものだと思いますが、残念ながらオジサンはまだその域に達していないのです。

ざんね~ン!!