「空気感」と言う「音」

今日は久し振りに冬らしい気温となり、関東地方でも雪が降っているようですが、皆さまお住まいの地域は如何でしょうか?

こんにちは、オジサンです。

暖冬、暖冬と言われ、暖かい日が続いている最中、雪を伴うような気温の低下は身体に堪えますねぇ。オジサンの住む地域は幸い雪の心配は有りませんでしたが、北寄りの季節風で今朝はガッチリ冷えました。

オジサンの住む家は吹き抜けになっていますので、暖房を入れても直ぐには暖かくならず、6時にガスストーブとエアコンを同時に入れて、室温が18℃になったのは7時過ぎでした。薪ストーブなんぞが欲しくなった朝でした。

オーディオ、これまで・・

オーディオを長くいじっていると、自分の好みの音は結構年齢によって、或いは経験によって変わって来ます。「好みの音」と言うのがまずければ、「目指す音」と言い換えても良いのですが・・・。

オジサンが目指している音は以前にも書きました通り横浜のオーディオ店で鳴っていたシーメンスコアキシャル(通称:鉄仮面)の音で、言葉にすれば「芯と響きがバランスした音」と言う事になります。言葉にすれば簡単な事なのですが、これがなかなか実現するのが難しいのです。

オーディオをいじり始めた頃、最初に目指したのは「バイオリンがバイオリンらしく鳴る」と言う事だったと思います。その頃リファレンスとしていたレコードは、イダ・ヘンデル女史が弾くチゴイネルワイゼンでした。

f:id:tenikichi21:20200118111234j:plain

英プレス スプラフォン盤(MONO)

ピアノ伴奏のチゴイネルワイゼンで、ピアノの音はいまいちなのですが、ヘンデル女史が弾くバイオリンの音色は本当に素晴らしく、特に中盤の弱音器を着けた部分は聴きものです。

そんな時代を経て、次にオジサンが求めたモノは「臨場感」でした。臨場感とは・・・辞書によれば「実際にその場にいる様な感じ」となるわけですが、音楽で言う臨場感とは、コンサート会場やスタジオで実際に演奏を聴いているような疑似体験と言う事になると思います。

実際に演奏家が目の前で楽器を弾いているような感覚・・・これがオジサンが求めた臨場感です。ただし、オーケストラの指揮者になったり、ピアノの中に頭を突っ込んで聴いているような聴き方はオジサンの場合好みません。あくまでも指揮者やピアニスト、或いはヴァイオリニストの演奏を聴く事を目的にしています。

オーディオマニアの中には指揮棒を持って音楽を楽しむような「疑似体験」を好まれる方も居るようですが、リスナーはフルトベングラー(オジサンは好みではないが)の演奏を聴くのであって、リスナー自身がフルトベングラー(振ると面食らーと言った人が居た)になってはいけないとオジサンは考えています。ただし、これはオジサンの個人的な意見であり、ご自身がフルトベングラーになり切ってベルリンフィルを指揮するのも良いと思います。

某有名オーディオ誌の取材を受けたのは丁度この頃で、まだまだオーディオのオの字位しか分かっていなかった頃の事です。まだ「分解能」にまで考えが及んでいなかった頃で、今この記事を読み返すと「なんとまぁ、何を言ってるんだか」と言う感じです。取材で訪れた菅野沖彦氏も驚いたことでしょう。お察し致します(って、お前の事だろう!)

さてある程度臨場感を手に入れると、オジサンは次に「分解能」の向上に着手します。本来なら、先に分解能の向上を目指される方が多いと思うのですが、オジサンの場合は逆でした(へそ曲がりですから・・・)。

f:id:tenikichi21:20200118115254j:plain

レコードの場合、最も分解能に影響を及ぼすのは音の入り口である「プレイヤー関係」だとオジサンは勝手に思っています。まずはプレイヤーの強化として取り組んだのがこのプレイヤー台です。

もう、30有余年前に松本市の職人の方に造って頂いたアオタモの箱ですが、中には数十キロの川砂(梓川)が入っています。実際にプレイヤーを取り付けているボードは2007年に知り合いの業者から譲って頂いたデルリン(高分子化合物)の板で、厚みが20㎜、重量はボードだけで15キロほどあります。

プレイヤーをいじる時、目指す方向は2方向だとオジサンは思っています。1つはトーレンスに代表されるフワフワ型、もう一つはマイクロ精機に代表されるガッチリ型です。ヘビーなマニアの中には地中にコンクリートの柱を埋め込み、その上にプレイヤーを乗せているようなツワモノもいますが、一般家庭でこの方法は理想的とは言えなかなかできる事では有りません。

そこである程度の強度(重量)の置台を用意してその上にトーレンスのようなフワフワ型を設置する方法が採用されるわけですが、オジサンが目指したのもこの方法です。

オジサンは「重いモノを浮かせる」事がプレイヤーの理想と勝手に考え、その方向でプレイヤーを調整してきました。

現在プレイヤーの総重量は120キロほどあると思います。御影石の支柱、砂入りの箱、デルリンのボード・・・合わせるとこれ位の重量になります。浮かせているのはデルリンのボードで、昔手に入れたSUNNY(日産製)のエンジンに使われたスプリングで浮かせています。ボードに触るとフワフワと揺れますが、下の御影石や砂箱を叩いても針飛しません。

ここまでやって、やっと分解能が多少上がったような気がします。

現場の空気

さて、本題の『空気感』です。音が空中を伝わるためには空気の存在が不可欠です。なぜなら、音は「空気の振動」ですから・・・。

映画などで、宇宙空間で爆発が起きた時、遠くにいる人の耳にも爆発音が聞こえますが、あれは何だかおかしい気がします。なぜなら宇宙空間は真空で、本来音は伝わらないはずですから・・・(オジサンの勘違い?)。従って、爆風で吹き飛ばされるのもおかしいのでは・・・。(空気以外で音の振動を伝える物質が有れば別)

音楽を録音する時、そこには必ず「空気」が存在します。楽器から放たれた音は空気を通してマイクロフォンに届き、マイクロフォンが拾った空気の振動を電気的に置き換えてそれをレコーダーで記録する・・・これが簡単な録音の仕組みです。

余程のオンマイク(マイクを楽器に接近させて)で録音されない限り、この「現場の空気」も一緒に録音されているはずです。では、その「現場の空気感」はオーディオによってどのように再現されるか・・・それは横の広がりや天井、或いは背面までの距離感で表されます。勿論非常に狭い録音スタヂオ等で録音された場合はこの「空気感」は薄れ、楽器の音がより近く、鮮明(ちょっと言い方が違うか)になる傾向がある様に思います。

例えばG・グールドの録音には必ずと言っていいほどグールドの唸り声(歌)が録音されていますが、マイクロフォンはピアノの音を録るようにセッティングされていますので、演奏家のグールドはマイクロフォンから離れた所にいるはずです。従ってグールドとマイクロフォンの間にはかなりの距離、つまり空気が存在します。グールドのレコード再生した時、この「現場の空気」を感じる事が出来るか否かが結構演奏をリアルに感じるか否かの境になるような気がします。

たとえが非常にまずくて恐縮ですが、これが現場の「空気感」です。他の例で例えるなら、弦楽四重奏の楽器間の空気(距離感)と例える事が出来るかも知れません・・・。

「空気感」を言い換えるなら、「現場の雰囲気」とでも言い換える事が出来るかも知れませんが、今のオジサンはこの「空気感」と真剣に取り組んでいます。

これはオジサンが求める「芯と響きがバランスした音」の中の「響き」と大きな関係がると思っているからです。まぁ、オジサンの勝手な解釈ですから、「全然違うぜ!」と仰る方も多いと思いますが、オジサンは真剣なのです・・・。

f:id:tenikichi21:20200118132715j:plain

とにかくオーディオは個人的な趣味ですから、何を勘違いして、何に取り組もうとオジサンの勝手なのです(開き直りか!)。

 

いよいよ大寒に突入し、本格的に寒い時期になりました。暖冬とは言え冬のまっただ中ですから、皆さんインフルエンザなどに罹らないようご注意下さい。

そう言えば、中国の新型肺炎も気になるところです。春節を迎えた中国の方が大量に日本に上陸・・・合わせて新型肺炎も・・・なんて事にならない事を祈っています。