日本盤と輸入盤(モーツアルト レクイエム)

春はすぐそこまで来ているのに、なかなかその姿を見せてくれないような陽気が続いていますが皆さんお元気にお過ごしでしょうか?

こんばんは、オジサンです。

今年も残すところ後10ヵ月となり、桜が咲くのが待ち遠しいですねぇ。オジサン家の近所(歩いて30秒)には桜の名所が有り、桜の時期になると多くの人が桜見物に来ます。

日本盤と輸入盤

さて、レコードの日本プレス盤と輸入盤では音質が異なる事は大分以前から言われている事で、五味康佑氏はその著書の中で「日本盤は総じて音がどぎつい」と表現されています。オジサン的には「音が薄い」と感じる事が多いです。

オジサンも比較的初期の頃から多くの人(特に師匠とF君)に勧められ、出来る限り輸入盤を入手する様にして来ました。その時既に輸入盤が廃盤等の理由で入手できなかったモノに付いては泣く泣く日本盤で我慢してきました。多くの輸入盤は当時神田駿河台下に有った『パパゲーノ』で買っていました。

輸入盤で入手できないモノ・・・つまり輸入盤と日本プレス盤の比較がなかなかできなかったのですが、この度モーツアルトの『レクイエム』が両方揃いましたので、少し感想を書いてみたいと思った次第です。

レクイエム モーツアルト作曲

オジサンは現在同曲のレコードを4種類所有しています。

①ゲーネンバイン指揮盤(英EMI)

②リヒター指揮盤(日テレフンケン:キングレコード

③シュライヤー指揮盤(東独ETERNA)

④ケルテス指揮盤(英DECCA)

この中で最も良く聴くのがリヒター盤です。リヒター盤の評価は様々です。「バッハ風」と評する方が多いのは承知していますが、オジサン的にはこの演奏が最もシックリ来るのです。しかし、当時輸入盤を入手する事は出来ず、日本プレス盤を長年聴いて来ました。レコードの裏には「87/11」のラベルが貼って有りましたので、既に35年以上このレコードを聴いて来た事になります。その間常に輸入盤の中古を探していました。高価であったりで入手する事が出来ず今日まで来ましたが、この度テレフンケンの輸入盤(初期盤では無いと思う)が入手でき、早速聴いてみました。

左側が長年聴き続けて来た日本盤ジャケットです。既に擦り切れ始めていますが、盤自体はノイズも無く元気です。右側が今回入手した独テレフンケン盤です。ジャケットは全く同じ写真が使われています。

ジャケット裏面です。当然の事ですが、日本語とドイツ語で演奏家の名前等が書かれています。

さて問題はココからです。

写真がピンボケで申し訳ありませんが、上が日本プレス盤、下が独テレフンケン盤です(共にA面)よく見比べると曲が終わった後のブランクの部分の広さが違うのが分かるでしょうか?

これが何を表しているか・・・それは音溝の幅だとオジサンは思います。つまり、独テレフンケン盤の方が音溝の幅が広いと考えられます。

そしてそれが音質的にどうなのか・・・?それが問題なのです。

実際聴き比べてみると、音質的に圧倒的に独テレフンケン盤の方がオジサン的には優れていると思います。

特に低域の量感、分離は全く違い、固まって聴こえる日本プレス盤に対し独テレフンケン盤はしっかり分離して聴こえます。また独唱部分の空気感も全く違います。全く響きが感じられない日本プレス盤に対し、独テレフンケン盤は天井の高い録音場所で録音した感じが良く出ています。

日本プレス盤は押しなべて1枚に多くを詰め込もうとする傾向が有るようで、オジサンが所有している盤ではブリテン指揮のモーツァルトが良い例です。

写真は割愛しますが、英DECCA盤はA面に25番、B面に29番をカッティングしていますが、日本盤はA面に25番と40番の第一楽章、B面に40番の2~最終楽章がカッティングされています。英DECCA盤のA面のブランク部分には40番の第一楽章が入るほどのスペース的な余裕は有りません。それだけ音溝の幅が広いと言えると思います。

音溝の幅が音質にどれほどの影響をもたらすか、オジサンにはさっぱり分かりませんが、日本プレス盤と輸入盤には明らかな音質差が有るとオジサンは感じています。特に「響き」の部分で日本プレス盤は大幅にカットされている気がします。

ブリテン指揮盤のモーツァルトに付いては、25と29番の組み合わせより、25と40番の組み合わせの方がセールス的に有利とレコード会社が判断したのだと思います。そして25と40番を一枚のレコードに収めるためには溝を細くしてカッティングする必要が有ったのでしょう(レコードに刻める時間は限りが有りますので)

今、若い方の間ではレコード熱が再燃しているようですが、クラシックファンの方、Jazzファンの方、1000~1500円程度の差なら入手枚数が少なくなったとしても輸入盤を手に入れる事をお勧めします。音質の差はその金額差以上のモノが有りますので・・。