オーディオ一期一会(1)・・・師匠

気温のアップ・ダウンが激しく、なかなか身体が付いて行かないのですが、皆さんお元気にお過ごしでしょうか?

こんにちは、オジサンです。

インフルエンザの変異型が流行しているようで、例年より早い流行がやって来ていますが、皆さんお住まいの地域は如何でしょうか?

オジサンの住む地域でも幾つかの学校で学級閉鎖が出ており、市街ではマスクを着用している人を多く見掛ける様になりました。もうすぐ正月ですから皆さんも感染症には十分気を付けて下さい。オジサンは昨年の今頃インフルエンザに感染し、症状は軽く済みましたが家族には迷惑を掛けてしまったので、今年はそんな事にならないよう気を付けています。

オーディオ一期一会(1)

先日長年使っているハードディスクの中を整理(特に写真)しようと思い立ち、整理を始めたところ、10年程前に書いた文章が出てきました。まだブログを始める前、勝手気ままに綴ったモノでしたが、中にはこのブログのネタになるような事も書かれていましたので、何回かに分けて抜粋を書こうと思います。

まぁオジサンの拙い文章ですから、参考になったりと言う事は無いと思いますが、お時間が有れば最後までお付き合い下さい。

では始めます・・・。

『私がオーディオをいじり始めて30年余りの月日が流れ、その間様々な人との出会い、装置との出会い、ソフトとの出会いが有りました。

オーディオ装置で音楽を聴く事を趣味とし、それら様々な出会いを振り返ると、それらは茶道で言う「一期一会」に似ていると私は感じています。もし、オーディオで音楽を聴く事を趣味としなかった場合、それらに関係する人々と出会う事も無く、素晴らしい楽曲や演奏、更には装置に出会う事も無かったと思います。

私は事オーディオ(音楽を含む)に関して、非常に素晴らしい出会いに恵まれた幸せな人間だと思っています。オーディオを通じて音楽を聴くと言う事で、一人の人間が出来る事は非常に限られたものがあります。特に私の様な貧乏サラリーマンでは、オーディオや音楽ソフトに遣える金額は知れています。

その様に限られた金額の中で自分が目指す音や演奏(ソフト)を手に入れる為にはやはり知人からの情報が非常に有効です。(実際に聴かせて頂く)勿論専門誌や雑誌からの情報も有力な手段ですが、残念ながら紙面から音が聴こえて来る事は有りません。

私は東に良い音のカートリッジが有ると聞けば出掛けて行き、西に良い音がするスピーカーが有ると聞けば出掛けて行き、南に良い音がするアンプが有ると聞けば出掛けて行き、北に素晴らしい演奏のソフトが有ると聞けば出掛けて行くという事に労を惜しむ事は有りませんでした。

その様にして様々な装置や人、更には音楽との出会いを通じ、色々な事を学ばせて頂きました。それが今の人生にどの様な形で役立っているか判りませんが、私は非常に有意義な時間を過ごさせて頂いたと思っています。

今回はその様な出会いの中から、何人かの方々、幾つかの装置、何枚かのレコードに付いて書きたいと思います。

■我が道を行くD氏

私は勝手に「師匠」と呼ばせて頂いていますが、かつて横浜西口に有ったオーディオ店の主任さんです。D氏の詳しい年齢は知りませんが、恐らく私より10歳以上年上だと思います。

D氏は非常に明確な言葉使い(悪く言えば口が悪い)で、どれ程有名な装置でも「運河に流せ」とか、駄盤に至っては「産業廃棄物」呼ばわりするような人でした。ある日、大学生とおぼしきお客さんが「○○の1000Mを買いたいので試聴させて欲しい」と言って店にやってきた時の事です。D氏は「どんな音で鳴らしたいの?」と最初は優しく聞いていたのですが、大学生が何処で仕入れた情報か判りませんが、色々な事をひけらかしてしまいました。それを聞いたD主任、いきなり「勉強して出直しておいでぇ」と大学生を一喝してしまいました。傍から聞いていると「なんとキツイ事を!」と思いましたが、その後D氏の意見を聞いた大学生は、十分納得し「もっと勉強させて下さい」とその店の常連になってしまったのです。

その大学生はしきりに「良い音」と言う言葉を口にし、「自分が求める音」に付いては一言も触れていませんでした。それは傍で聞いていた我々も感じていましたが、D氏曰く「その様な状態で装置を買っても、直ぐに飽きて買い換えるのがおち」と言うものでした。確かに自分が目指す方向が見えないうちに装置を買っても、直ぐに飽きたり、「何かが違う」と感じて装置を買い換える事になる事は自明の事です。

しかし、自分の目指す音(再生音)を明確に持っている人は少なく、意外に「受け売り」の音を自分の目標としている人は多いと思います。何年、何十年オーディオをいじっていても、昨日と今日、今日と明日は違う音を目指している方は意外に多いものです。

確かに、日々感性が高まればそれに従って求める音は変わる訳で、何十年も同じ音を目指していること自体おかしいと言われればそれまでですが、それにしてもコロコロ変わるのもどうかと思います。

D氏から私が教えて頂いた事で今も守っている事は「遣える金の3割をオーディオ装置に、残りをソフトに充てろ」と言う事です。

これは「どれ程素晴らしい装置(高額と言う意味では無い)を揃えても、鳴らすソフトが劣悪では絶対に良い再生音は望め無い」と言うD氏の哲学から来ている言葉です。

確かに、オーディオの入口はカートリッジやCDPでは無く、ソフト自体であると私も思います。

演奏家の情熱やテクニック、録音、ミキシングの状態、プレスの状態など、様々な要素が絡み合って一枚のレコードが出来ています。それら全てが上手く合致しているソフトはそれ程多くは有りません。それを探し出すのもリスナーの情熱だと私は思うのですが・・・。

今も私はD氏と交友をさせて頂いています。多くを学ばせて頂き、多くの叱責を頂いたD氏ですが、その人柄は出てくる言葉と裏腹に優しく、絶対に嘘は無いと信じています。私もある程度歳を取り、後何年スピーカーの前で頭を垂れ、モーツァルトやバッハの音楽に耳を傾けられるか判りませんが、最後までD氏の事を「師匠」と呼び続けたいと思っています』

今回はここで終わりにしますが、まだ続きが有りますのでボチボチ紹介していきます。

最後まで読んで頂いた方、長文、駄文で申し訳有りませんでした。次回はバッハに心酔していたF君が登場予定です。