オーディオの話を少し・・・オジサンの好きな音

今日は比較的暇なので、オーディオの話を少し書いておこうと思います。

こんばんは、オジサンです。

考えがまとまらない内に書き始めてしまいましたので、何が飛び出すか分かりませんし、途中で話が終わってしまうかもしれませんが、その時はご容赦下さい。(最初から弱気なオジサン)

 

自分が目指す音を探そう

オジサンがオーディオに嵌った話は何度か書きましたので、既に分かってくれていると思います。オーディオは「自分の好きな音」探しから始まるとオジサンは感じています(受け売です)。オーディオをいじり始めた最初は、「機械をいじる事」に夢中になり、好きな音質や好きな音楽さえも良く分からない時期がしばらく続きます。Aさんの音を聴かせてもらえば「ええねぁ」と思うし、Bさんの音を聴かせてもらえば「これも、ええなぁ」と思えてしまいます。

カメラ(写真)を趣味にした経験の有る方なら多少お分り頂けると思いますが、「これは、ええでぇ」と思って撮った写真も、後で眺めて「何が撮りたかったんだろ?」と思う様な写真ばかりを量産してしまいますよねぇ。(オジサンは今でもそうです・・・)

写真を撮る時は「どんな画にしたいか」と言うイメージを最初に持つ事が大切だと言われますが、オーディオも「どんな音にしたいか」を持たないと、暗中模索、紆余曲折を繰り返すだけで、永遠に自らの目指す音には近付きません。(沼に嵌る~)

オーディオは、部品を替えれば音の傾向は少なからず変わります。特に音に影響を及ぼすのはスピーカーと言われていますので、スピーカーを替えれば音の傾向は大きく変わります。てっとり早く音を変えたいなら、スピーカーを替えるのが最も近道になります。

とは言っても、オーディオ機器は安いモノではないし、材質、大きさ、考え方等様々なモノが出ていますので、それこそどれを選べば良いのかなんてオジサンはいまだに分かりません。

オジサン・・・目指す音を探す

オジサンが「Bachをこんな音で聴きたい」と思い始めたのは、オーディオをいじり始めて3年位が経った頃だったと思います。それまでは、闇雲に機械(特にアンプ)をとっかえひっかえしていました。この頃は本当に筋金入りの「ローンレンジャー」でした。

そんなオジサンを救ってくれた(決して金銭的に助けてくれたわけではない)のが、オーディオの師匠であるD氏でした。D氏は「自分が目指す音を探せ。機械を買うのはそれからでも遅くねぇ」と言ってくれたのです。オジサンはこの一言で目から鱗が取れた感じがしました。

それからは本当に色々な方々の装置の音を聴かせて頂きました。Bachに詳しいF君の所で聴いた英国QUAD(真空管)の音、改造魔のA氏の所で聴いた100Kg超のターンテーブルを糸ドライブしたプレイヤーから出て来る蚊の鳴く様なバイオリンの音色、低音再生に命を懸け、自宅の床下をぶち抜いてホーンを造ってしまったS氏、そしてワーフデールのスピーカーをこの世のモノとは思えないほど美しい音色で鳴らしていた師匠のD氏等々、数え上げればきりがないほどの装置を聴かせて頂きました。しかも音(音楽)を聴かせて頂いただけではなく、夕飯もかなりごちそうになりました。ごちそうさまでした。

D氏は鎌倉のご自宅ではワーフデール、ご実家ではVitaVox コーナーホーンをお使いでした。(オジサンは両方聴いています)

これがオジサンの目指す道

・・・シーメンスコアキシャルスピーカー

そんな日々がどれ程続いたでしょうか?恐らく1年以上、ほぼ毎日どなたかの家に行ってクダを巻いていたと思います。特に師匠のご実家は暮れから正月三が日入り浸って、飯は食らうは、風呂は勝手に入るはと言う事を5年位続けていたと思います。(師匠、その節は大変お世話になりました。奥様、嫌な顔一つなさらずご対応頂き有難うございました)とは言っても、料理から風呂沸かし、トイレ掃除まで全部自分達でやったのですが・・・。

そんな毎日を送る間に、だんだん自分の目指す音・・・好きな音が固まって来ました。「MozartのVn協奏曲をこんな音で聴きたい」と思って顔を上げれば、そこに有ったのはシーメンスコアキシャルスピーカーでした。

f:id:tenikichi21:20180510150349j:plain

他の方のHPから拝借しました。

通称「鉄仮面」と呼ばれるドイツ製の26cm(だった?)のコアキシャル型スピーカーです。例の横浜のオーディオ店では、このスピーカーを後面解放箱(上弦製だと思います)に入れ、安斉勝太郎氏制作の845シングルアンプで鳴らしていました。

恐らく最初はIto先生が強制的に置いて行ったモノだと思いますが・・・。

プレイヤーはレンコ、カートリッジとアームはF君の個人的所有物だったDeccaだったと思います。プリの記憶が曖昧なのですが、確かA氏改造によるダイナコだった様な気がしますが、定かでは有りません。(もう40年近く前の話ですから・・)

鉄仮面はサイズはそれほど大きなモノでは有りませんが、何とも言えない繊細で切れが良く、バランスの取れた音を出していました。今は記憶の中で美化されていると思いますが、今でも耳の奥でその音が聴こえて来ます。

芯と響きのバランスした音

これが最終的にオジサンが目指した音の姿です。音を言葉で表現するのは難しいし、どうしても抽象的になってしまいますので、この様な表現で申し訳ないのですが、これ以外に表現のしようがない(ボキャの少ないオジサン)です。(これほど言葉のボキャが少ないと、とても食レポなんてできませんねぇ)

「音の芯」とか「響き」なんて、全く意識した事も無かったし、だいたいそんなモノがこの世に存在する事すら知らなかったオジサンですが、多くの人の音を聴かせて頂き、多くの方のお話を聞かせて頂いてたどり着いた結論でした。

「音の芯」とは、楽器が最初に出す音をオジサンはイメージしています。例えばバイオリンなら、弦と弓が触れ合う部分から出て来るのが音の芯、「響き」とは芯から発せられた音がバイオリンの胴を通じ、人の身体を通じ、そしてホール全体に広がって行く事をイメージしています。

勿論録音によってもこのバランスは大きく変わりますので、必然レコードレーベル(会社)、録音技師、プロデューサーの好き嫌いが出てきます。

例えば「芯」の部分が多く聴こえる様な装置で聴くとバイオリンの音は硬く聴き疲れがする気がしますし、「響き」の部分が多い装置で聴くとボンヤリした音に聴こえてしまうとオジサンは勝手に思っています。

オーディオは複合装置

とは言っても、オーディオはスピーカーだけで音が出るわけでもなく、アンプを繋がないスピーカーはただの箱でしか有りませし、一旦スピーカーから出た音は部屋の中で反響します。

レコード、カートリッジ(プレイヤーシステム)、アンプ、スピーカーが有って初めて音(音楽)は出現するものですから、オジサンが目指す「芯と響きがバランスした音」はシーメンスコアキシャルスピーカーだけを手に入れれば出て来るものでは有りません。

それぞれの組み合わせ、部屋、セッティング等々、様々な条件を満たして、初めて目指す音に近付く(近付くだけでゴールでは無い)のです。

 

オジサンもオーディオをいじり始めて早40年ほどになりますが、いまだに「芯と響きがバランスした音」を手に入れる事が出来ません。恐らく、一生駄目でしょう。

近い所までは行きますが、ゴールに手が届きそうになるとゴールの方が遠のいて行きます。師匠曰く「感性が上がったって事じゃねぇのか。喜べ!」という事になるのですが、これではどこまで行っても目指す音には辿り着けませんねぇ。でもオジサンはそれで良いと思う様になりました。若い頃は「いつかはきっと・・」と意気込んでいましたが、50の齢を過ぎた頃から「こんなもんかなぁ」と思えるようになったのです。

誰かがこんな事を言っていたのを思い出します。

「オーディオは蚊取り線香みたなもんだ。ゴールはそこに見えているのに、なかなか辿り着けない」と。確かにその通りです。

前にも書いた通り、天気、湿度が違えば音も変わります。最も音を変える要因は、本当はスピーカーではなく、リスナーの体調や精神状態の様な気もします。人間は測定器では有りませんので、全く同じ音を聴いたとしても、その感じ方は昨日と今日で違うのが当たり前だと思います。そんな曖昧な趣味を持ち、日々理想の音を追い求めているかわいそうなオジサンでした・・・。

GWが終わってもう1週間が経とうとしていますが、皆さん平常運転に戻ったでしょうか?オジサンはまだまだ火星の辺りを彷徨い続けています。地球に帰るにはもう少し時間が掛りそうです・・・。