オーディオの話し・・・アンプ編Ⅱ

昨日は途中で尻切れトンボの様になってしまいました。

こんにちは、オジサンです。

昨日はZAIKAアンプが登場するまでを簡単に書きましたが、オジサン的にはあれほどスンナリ行った訳では無く、紆余曲折を経た結果です。

オーディオでも何でもそうですが、趣味と言うのは嵌るととてつもなく金が掛ります。オジサンが今まで嵌った趣味は、オーディオ(レコードを含む)、カメラ(銀塩)、腕時計です。これらの趣味は金を掛けようと思えば底無しで金が掛ります。

「隣の芝生は青く見える」と言いますが、これらの趣味(道楽)はまさにこの言葉の通りで、Aを買えばBが、Bを買えばCが良く見えてしまいます。金は何とかやりくりして買う訳ですが、気が付けば前の装置のローンが残っている間に次のローンを組むと言う果てしないローン地獄にはまっています。オジサン達仲間内ではこの様な人を「ローンレンジャー」と呼んでいました。オジサンも一時期はローンレンジャーの一人として毎月せっせとローンを払い続けていました。

我家で最も長く使ったアンプ

我家で最も長く使ったアンプは、当時東京都港区浜松町にあったFigaro製のフォノイコアンプでした。Figaroは浜松町に移転する前は新宿辺りにお店があったと記憶していますが、新宿のお店には行った事がありませんでした。

Figaroを紹介してくれたのは、前にBach Vn協奏曲の所で出て来たF君です。F君は横浜のオーディオ店の後、このFigaroでアルバイトをして生計を立てていました。

FigaroはKさんと言う方が経営していて、英国製のオーディオやレコードを中心に取り扱っており、ドイツ製のシーメンススピーカーも確か置いてあったと思います。

オジサンが使っていたFigaroフォノイコアンプは、英国QUADーⅡのイコライザー部分を参考に作ったと聞いた事があります。確かに当時QUAD-Ⅱと22の組み合わせは真空管アンプマニア垂涎の一品でした。Marantz#7、Mcintosh C22、それにQUAD-Ⅱ辺りが頂点を極めたプリアンプと言われていました。(勿論他にも多々優れたアンプは有りましたが・・・)

Kさんは特に英国製オーディオに造詣が深く、後にFigaroでお世話頂いたVITAVOXのスピーカーは30年以上経った今でも我が家で元気に鳴っています。

さて話をFigaro フォノイコアンプに戻します。

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(出展:ハイファイ堂HPよりお借りしました)

これがFigaroフォノイコアンプの外観ですが、ユーザーの要望に沿う形で一台一台造っていましたので、このアンプには結構色々な顔が有ります。ここに掲載したものが我が家のものと一番似た顔をしています。(基本的に使っているケースは同じなので、大きさは変わりません)

Figaroフォノイコアンプは、電源部とコントロール部を分離し、電源によるノイズを回避していますので、フルボリュウムにしてもノイズは皆無でした。

バイオリンの素晴らしい音色

Figaroフォノイコアンプを導入したした頃の我家のラインナップは・・・

スピーカー : タンノイレクタンギュラ―ヨーク(モニターゴールド)

プレイヤー : ガラード 401(前期型)

アーム : オルトフォン RMG309

カートリッジ : SPU G-T

パワーアンプ : ZAIKA 2A3シングル

でした。

この構成で鳴らすバイオリンの音色がオジサン的には大変気に入っていて、この構成で聴いた時間が最も長かったと思います。オジサンの不注意でタンノイを潰してしまうまで、この構成が続きました。今でもこの頃の音(記憶の中で美化されていると思いますが)を思い出す事があります。

前にも書きましたが、オジサンは人声を聴くのが苦手でしたから、最初はバイオリン、チェロなどの弦楽器、しかも大編成も余り好みではありませんでした(我儘なオジサン)ので、弦楽四重奏バロック音楽等の室内楽的な曲を好んで聴いていました。

Figaroフォノイコアンプは10年以上の長きに渡って使ったと思います。2007年に今のアンプに代わるまでですから、やはり10年以上使っていたはずです。

最後は左側の音、続いて右側の音も出なくなり、テクニクスの経験からコンデンサー辺りが怪しいと考え、一時は修理して使っていましたが、やはり部品が変われば微妙な音の雰囲気が変わってしまいました。1年ほど掛けて、何種類かのコンデンサーを試してみましたが何れも元の音には戻らず、断念した次第です。

今もオジサンの部屋に飾られていますが、二度と音を出す事は無いと思います。いまもFigaroが有って、Kさんの手を借りられるなら今一度直して使ってみたいと思いますが、残念ながらFigaroは既に営業を辞めてしまった様です。

今使っているアンプ

今使っているアンプは、フォノイコ、ラインプリ、パワーアンプの3種類です。

フォノイコとラインアンプはオジサンの設計で、横浜の業者さんに造って頂きました。オジサンには造れるほどの技量は有りませんし、今住んでいる町ではコンデンサー一つ手に入れる事は難しいので、横浜の業者さんにお願いしました。

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これがフォノイコ・・・レコードの特性カーブを変え、信号を少し増幅する役割をします。今は12X7を4本使用していますが、真空管をU7等に替える事でゲイン(増幅率)を10段階程変える事が出来ます。(オジサンの自慢です!)

なぜ10段階ものゲインを必要とするか・・・それは組み合わせるその他のアンプ、カートリッジ、スピーカー等によってゲインが変わるためです。また、アンプは「最大出力に近いボリュウム位置で使うのが最も良い」とされるため、その他の部品の組み合わせの中で、最大ボリュウムを使えるように工夫しました。

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これがラインプリです。6SN7を使った、非常に簡単な造りのアンプです。持っていた東京光電のボリュウム(1970年代製?)を使って頂きました。フォノイコもラインプリもコンデンサーは主に1970年代以前のスプラグを中心に使っています。(写真の電解コンデンサーはJJですが・・)

オジサンは、「アンプは、何も足さない、何も引かない」物が理想だと思う様になりました。若い頃は「アンプで音が変わる」と思っていましたが、アンプで音作りをするのは間違っているのではないかと思う様になったのです。(オジサンが勝手にそう思っているだけですが・・)

ラインアンプは本当に必要か?・・・と思う方も多いと思います。ラインプリの役割は、ただただ信号の増幅をするだけで、オジサンの所のラインプリはセレクターとボリュウムしか着いていません。市販のプリアンプの様に音質をいじれる訳でもなく、左右の音量バランスを変えられる訳でもありません。

そこで、オジサンの所のパワーアンプにはボリュウムが着けて有りますので、フォノイコから出た出力をパワーアンプに直接放り込んだら回路が少なくなり、音質が向上すると考えるのは極普通の考えだと思います。

オジサンも実際そのような回路構成でしばらく聴いた事が有ります。確かに「音質」と言う意味では向上する気がしますが、「音楽」という点では「つまらなくなった」と言うのが率直な感想です。原因は分かりませんし、他の部品ならそんな事は起こらないのかも知れませんが、オジサンの所の装置ではそんな結果でした。ですから、オジサンはラインプリを使用しています。

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少し見難いですがパワーアンプです。これは真空管アンプの第一人者(とオジサンは思っている)だったIto先生が設計図を書いて下され、その図面を基に福島県喜多方市に住むマニアの方に造って頂いたものです。6V6シングルと言う珍しい(普通はプッシュ・・方チャンネル2本使用・・で使う)構成で、出力は小さいですが我が家のスピーカー(105W/W/m)を駆動するには十分です。消費電力は30Wと、夢の様に低いアンプです。

オジサンは3日以上休みが続くときはアンプ全てのスイッチを24時間入れたままにして、いつでも(時には夜中でも)聴けるようにしています。これも消費電力が少ないからできる事で、これが何100Wも食うような大飯食らいのアンプでこんなことをしたら奥さんに大目玉を食らいそうです。

余談ですが、パワーアンプ横で耳を澄ましているのは「パブロ」です。EMI(日本ではビクター犬)のニッパーですが、オジサンは「パブロ」と付けました。オジサンのブログのマスコットにもなっています。

今使っているアンプは、2007年にほぼ同時に全て入れ替えました。仲間内からは「ライン系を一気に変えるとは・・・アホかお前!」と罵声の嵐でした。(お~コワ!)

機械にほれ込むという事

今のアンプも10年を超えました。スピーカーは約30年、ターンテーブルもおよそ30年使っています。

オジサンがオーディオをいじり始めておよそ40年、それぞれの部品にほれ込んで使ってきた積りですが、愛情の注ぎ方が足りなく、早々我家から姿を消してしまった部品も多々あります。

やはり機械(部品)はほれ込んで使ってやるのが一番だとオジサンは思います。

「骨の髄までしゃぶりつくす」と言う言葉が有りますが、昨日書いた様に様々なカット&トライを繰り返して機械の実力を引き出してあげる事が機械に対する愛情だと思います。オーディオに限らず、車、カメラ等々、様々な道具、機械、部品にほれ込んで使い倒しましょう。

道具や部品はあなたが思っている以上の実力を持っていると思いますよ。

とは言っても新しいPCを買って、実力の10%も引き出せていないオジサンでした。